Kokeshi Dolls
February 1999
ベネトンの国際キャンペーンおよび'99年春夏のカタログでは表参道の若者のスタイルが取り上げられています(写真:オリビエロ・トスカーニ、文:吉本ばなな、協力:TIMおよびプロクター&ギャンブル)
1999年2月ポンツァーノ。たくさんのピアスと、伝統的な下駄。最新モデルの携帯電話と、タータンチェックのプラスフォー(ニッカボッカー・スタイルのパンツ)。テニス・シューズと赤い靴下留め。プラチナ・ブロンドのウィッグ、着物、ネオ・パンク風のモヒカン刈り、マーロン・ブランド風のレザー・ジャケット、ショッキング・ピンクのプラスチック製のミニケリー・バッグ、SMを連想させるチェーン、短いソックス、ヒョウ柄のシャツ、水鉄砲、ワイヤーの指輪、エスニック調のスカート、カウボーイ・ハット、目が回りそうなほど高いヒールの靴。混合、組み合わせ、重なり、接近、結合そして対称的なアプローチの高まりが、すべてが許されるまったく新しいスタイルを生み出しています。ユナイテッド・カラーズ・オブ・ベネトンは、新しいワールドワイドキャンペーンと1999年春夏のカタログのテーマとして、つねに創意的で驚くほど独創的な東京の表参道地区の若者の美学を取り上げました。
このキャンペーンは、世界各地でポスターおよびマスコミを通じて実施される予定です。世界で200万部が配布されるカタログは、イタリアのTIM社およびプロクター&ギャンブル社と協力して作成されました。これによりベネトンは、日本のAceとポルトガルNeoblanc Gentilという繊維専用洗剤を専門とする2つのブランドと手を結ぶことになりました。
オリビエロ・トスカーニの写真は、16才から24才までの男女約80人の姿を撮影したものですが、これは日出づる国の若者の動向に関する人類学的調査から導き出された結果です。これらの日本の若者は、おしゃれに熱心なポップ・アートの愛好家です。そしてこのような人々が、ベネトンのコレクションのカラーを、非常に創作的、エネルギー集約的で、ピーター・パンに似た執着のないスタイルへと変えてきたのです。彼らが自発的に共感するのは、明らかにファッション・システムの因習に縛られることを拒否し、他者に対して独自の意思表明をできるようなコレクションです。若いベスト・セラー作家吉本ばななが、自己紹介の部分で次のように述べているように、人々はつねに、着るものを含めて自分自身を表現するための手段を求めているのです。"私は、自分にぴったり合う服をさがしている/それはどこへ行っても、見つけることができない/私の内面をみんな、外に表現できる形、布、色/今ここに確かに生きていることを表す服"。
ベネトンカタログの表題になった吉本ばななの言う"コケシ・ドールズ(こけし人形)"のように、東京の若者は何かを待っているのです。しかしそれは絶えず動き続けているため、彼らは次の世紀がもたらす変化に目を据え、"生きていることはいつでも両方を見ること" を知っている者の知的好奇心を持ち続けているのです。つまりコルレオーネ家、エルサレム、そしてリュポルディングの障害を負った若者に続いて、今回ベネトンは、もう一つ別のユニークな状況を取り上げたのです。ここでは、美的規範や文化的規範は、自由で皮肉的で、慣例にとらわれないコミュニケーション・システムへと融合していきます。そしてこれこそが、一貫して変わらないベネトンのキャンペーンの精神なのです。
「ファッション界のような世界では、たとえ幸運なときでも皆が黒やグレーの服を身につけ、経済不振がモデルやプロたちの行動に影響を与えているようだ。だから私たちは、色を探すことにした。」ベネトンのコミュニケーション戦略における新段階について説明する中で、オリビエロ・トスカーニはこう語っています。「東京のような大都市の若者たちが、黒ばかり、あるいはグレーばかりという偏狭さに対して創造性とイマジネーションで立ち向かい、他から課された規則を受け入れまいと拒否しているという姿を発見したことは、とても素晴らしい事だった。まさにこれこそが、昔も今も本当のファッションの真髄なのだから。」