The Sunflowers
September 1998
ドイツのケア施設の障害者の若者たち、新しいカタログと国際キャンペーンの主役
1998年9月11日ポンツァーノ。愛のメッセージが記されたポロシャツを着た小さなヒルデガルト。アイス・スケートを楽しむ子供たち。料理を作り、手で味見をする若い料理人たち。母親や兄弟たちとポーズをとるマヌエラ。郊外の太陽の光の中で、祖父母と両親、斑模様のおとなしい子牛に囲まれて微笑むハンジ。雪上に繰り出そうとしているスキーヤーたち。ギターを抱えてエルビス・プレスリーを真似る14才のステファン。彼らは、ベネトンの1998/99年秋/冬コレクションの新しいカタログの主人公です。写真は、障害を負った若者の教育を専門とするバイエルン・アルプス、リュポルディングのセント・バレンタイン協会で、オリビエロ・トスカーニが撮影しました。このカタログはプレス・キャンペーンと広告キャンペーンでも取り上げられます。キャンペーンは、イタリアではTIM社(イタリア)と、またイギリスおよびアイルランドではプロクター&ギャンブル社のレナー・ケア・ブランドと協力して実施されます。これは、社会的なコミュニケーションに参加し、ベネトン・ブランドの隣に自社のブランド製品を置くことを決定した両社からの重要な働きかけです。
この新しいカタログは、『ひまわり』と呼ばれています。ライターのスザンナ・タマロが序文の中で、自分の家の窓から見えるヒマワリの花の様子や、"ヒマワリの花の底抜けの明るさと...太陽を追い求める従順さ"がリュポルディングの施設の子供たちのほほえみを連想させる、と書いているためです。カタログには、普通の若者と同じように喜び、悲しむ障害を持つ子供や若者たち、彼らの家族、教師、施設の専門スタッフが登場します。彼ら全員が、一つの大家族、平和なコミュニティの中で共に生活しています。そこでは、"普通であること"の一般的な尺度は、人間同士の深い連帯感によって取って代わられています。「ベネトンが私たちのセンターでカタログを作ってくれることになって、皆喜んでいます。」と、指導者の一人であるシスター・ミヒャエラは言います。「素敵なひとときでした。本当に楽しい出会いと友情の証を確認することができました。」
写真からは、自然な誠実さや無邪気さ、希望が感じられます。これらの写真については、タマロはこう強調しています。"(これらが語っているのは)何の防御も制約も先入観もない世界である。直接愛を伝えることで、自らを表現する世界である。"こうした理由から、このベネトンのカタログは、今回初めて世界的なコミュニケーション・キャンペーンでも取り上げられることになりました。そして極端な"違い"の一形式として障害者を取り囲み、理解できないから、恐ろしいから、あるいはイメージに流されがちな私たちの社会においてさらに深刻な"人に見せられない"という理由から障害者を疎外している壁を打破するために、これらの写真の何枚かはマスコミや広告でも紹介されることになっています。
セント・バレンタイン協会でこれらの写真を撮ろうと決心した理由は、と問われて、オリビエロ・トスカーニは、有名なダダイストのモットーを引用してこう説明しています。「愚かな人々は、美しいものの中にしか美を見いだすことができない。」そして今日の美しさが、いかに広告やテレビに現れる美しいモデルだけを基準としているかを強く訴えました。「だから」と、彼は話しています。「表面的な美よりももっと深い何かを探し求める必要があるのです。私がこの子供たち、若者たち、家族たちを選んだのは、彼らが本当の意味で美しいからです。」
ドイツのリュポルディングにある障害者のためのセント・バレンタイン協会は、国の援助を受けて、3才から22才までの子供と若者110名を指導していますが、そのうち30名は協会の施設で暮らしています。彼らは、22才になると、それぞれの能力に応じて施設外の仕事に就くか、成人障害者の施設に移ります。約100名の教師および専門スタッフから成るチームの力に支えられているこの協会は障害の種類に応じた特別な治療をおこなえる体制が整えられており、若者たちは自然で清らかな環境に囲まれて生活できるようになっています。2つの体育館(うち1つは理学療法専用)、屋内プール、リラクゼーション・ルーム、乗馬センター、スキー・コース、スケート・リンクも完備したこの協会には、遠足や料理教室、絵画、演劇、音楽にいたるまで、多岐にわたるレクリエーション活動をおこなう設備も整っています。